従来の電子デバイス製造工法が抱える課題と「印刷エレクトロニクス」への転換
従来の電子デバイス製造は、硬いシリコンウェハをベースに、成膜、フォトレジスト形成、UV露光、現像、エッチング、レジスト除去といった約7工程にも及ぶ「フォトリソグラフィ工法」が主流でした。
・従来の課題:工程数が多くコストがかさむ、大面積化が難しい、さらに現像液やエッチング液などの廃液・薬液が発生する。
・印刷エレクトロニクスのメリット: PETやフィルムなどの柔軟な基材を活用し、印刷によって直接電子回路を形成することで、工程をわずか2工程へ大幅に削減。
「電子部品を作る」という従来の概念から、「電子機能を印刷する」という新しいものづくりへの転換により、「曲がる」「軽い」「大面積化」「高スループット」といった次世代のニーズに応えることが可能になります。
スクリーン印刷で40µm微細パターン形成に挑む
アンテナやヒーター、電極配線などの用途において求められるのは、数µmの超高精度ではなく、「広い面積を、安定して、低コストでパターンを形成すること」です。スクリーン印刷における製品化レベルの最小線幅は一般的に50〜100µmが目安とされていますが、当社はシリンダー型ロールツーロールスクリーン印刷機「MSDR-60」を用いて、40µmの微細パターン形成に挑戦しました。
精度改善のポイントは「ペースト × 版 × 機械・印刷条件」の融合
実際にIEC規格に準拠した基本パターンの一部を使用した版と銀ペーストで印刷を行った当初は、「狙い線幅40µmに対して10µm以上太くなってしまう」という課題に直面しました。そこで当社はスキージやドクターの条件を変えながら、全14回に及ぶ条件検証を実施しました。
検証の結果、最適な条件を導き出し、狙い通り40µmの高精度なパターン形成に成功しました。そして「材料・版・印刷機、この3つをセットで考えなければ微細印刷の精度は追い込めない」という知見が得られました。
ロールツーロールによる多層印刷・FHEの再現性検証
さらに当社は、印刷エレクトロニクスと硬質なエレクトロニクスを融合した次世代技術「FHE(フレキシブルハイブリッドエレクトロニクス)」を見据え、多層印刷における再現性の検証を行いました。
・1層目: サステナブル化が期待される銅ペーストを使用。
・2層目: CCDカメラアライメントにより1層目のパターンを高精度に位置合わせし、絶縁ペーストを重ねて絶縁層を形成。
ロールによる連続印刷から無作為に抽出したサンプルを検証した結果、複数層を重ねる難易度の高いプロセスにおいても、安定したパターン形成と優れた位置精度・再現性が確認されました。
単なる機材販売にとどまらない、桜井グラフィックシステムズの「技術をつなぐハブ」戦略
実際の製品開発の現場では、「自社の目的に最適な条件を見つけること」や、個別技術を一つの製品市場へつなぎ合わせることが大きなハードルとなります。
当社は、単に「印刷機を売る」のではなく、インクメーカー、素材メーカー、国立研究開発法人、県立産業技術研究所、車載・電池・半導体・医療機器関連メーカーなど、さまざまな企業・研究機関の間をつなぐ「ハブ」としての役割を担っています。材料、印刷プロセス、装置、実装技術を繋ぎ、印刷技術を起点とした新しい市場開拓と製品化の伴走支援を行っています。
仕様未確定・設備投資不要な「試作支援サービス」のご案内
新しい市場開拓や製品開発においては、「この材料を印刷できるか」「設備投資をいきなり行うのは不安だ」「仕様がまだ固まっていない」といった悩みがつきものです。
当社では、こうした課題を解決するために「試作支援サービス」を提供しています。
・多額の初期投資が不要: 先行投資を抑え、迅速な検証・試作が可能。
・仕様未確定でも相談OK: 相談から並走する協働型支援。
・素材・工程設計まで提案: 基材、版、インキなど最適な材料選定をサポート。
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まとめ
電子デバイスの高機能化や多様化が進む中、製品の信頼性を高める「高精度な印刷技術」と「安定した再現性」の重要性はますます高まっています。印刷エレクトロニクスやFHE(フレキシブルハイブリッドエレクトロニクス)の活用は、これまでの製造プロセスや設計の常識を大きく変える可能性を秘めています。
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