スクリーン印刷の基本～インク・ペースト編～

一般的に「インク」と聞くと、カラフルな印刷や装飾を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし工業用途のスクリーン印刷では、製品に機能を付与する「機能性ペースト」が主役となっています。
この記事では、機能性ペーストの種類とその用途について紹介します。現場の課題解決などの参考になれば幸いです。

1. スクリーン印刷の仕組み ( シリンダー方式 )

スクリーン印刷は、印刷したい形に穴をあけたスクリーン版を使う方法です。版の上にインクをのせ、スキージーと呼ばれるヘラで押し出すと、穴の部分だけインクが通り抜け、下に置いた素材にインクがのります。

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2. スクリーン印刷におけるインクの役割

インクと聞くと、カラフルに着色されたものや、メタリック・蓄光といった加飾効果を思い浮かべる方も多いでしょう。実際、商業印刷や装飾の分野では、そのようなインクが主流で使われています。
しかし工業用途で利用されるスクリーン印刷では、インクは単なる「色をのせる材料」ではありません。導電性や絶縁性、接着性など、特定の機能を持たせることができる素材として扱われ、用途や目的に応じて使い分けられています。
つまり、工業用途で使われるインクは、意匠性を高めるためだけではなく、製品の性能を左右する重要な要素となっているのです。

3. 機能性インクの種類と用途

機能性インクは高粘度であることから「ペースト」とも呼ばれます。代表的な種類と用途は以下の通りです。

導電性ペースト

銀や銅などの微細な金属粉末を樹脂や溶剤に分散させた材料で、電気を通す性質を持ちます。プリント基板の配線や半導体の電極形成、タッチパネルの透明電極などに使用されます。

非導電性ペースト

セラミックスや樹脂を主成分とし、電気を通さない性質を持ちます。スマートフォンのカバーガラス周囲のブラックマスク、電子部品実装用のマーキング、家電や産業機器のパネル印刷などに使用されます。

絶縁ペースト

非導電性ペーストの中でも、絶縁膜を形成して電気的に分離することを目的とした材料を指します。耐熱性・耐湿性・耐電圧性が求められることが多く、回路パターン上でショートや腐食の防止、タッチパネルのセンサー絶縁層、多層プリント配線板やフレキシブル基板の絶縁膜形成といった分離・保護する機能を目的とした技術用途で使用されます。

粘着・接着ペースト

エポキシ系やUV硬化型の樹脂が多く、部材同士を強固に固定します。半導体加工用のダイシングテープやプロセス中の仮固定用途にも応用され、加工後に容易に剥離できる特性を持つものもあります。

トップコート・保護膜

耐摩耗性や防湿性、耐候性を付与する仕上げ材です。センサーやバッテリー電極の寿命を延ばし、インク塗膜の保護や外観維持にも効果を発揮します。自動車や屋外機器でも広く採用されています。

4.今後の可能性とまとめ

スクリーン印刷のインクは、単なる着色材にとどまらず、製品の性能を左右する素材として活用されています。特に機能性ペーストは、半導体やプリント基板、ディスプレイ、エネルギー機器など多様な分野で不可欠な存在です。
今後も新素材や新用途の研究開発が進むことで、その可能性はさらに広がり、次世代のものづくりを支える重要な技術となっていくでしょう。

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