シリンダー型スクリーン印刷機とは～特徴や動作を解説～

スクリーン印刷にはさまざまな印刷方式がありますが、その中でも大量生産に適した方式の一つが「シリンダー型スクリーン印刷機」です。
印刷中に版が前後動しながら印刷物が排出される仕組みにより、高速かつ高精度な印刷が可能になります。
本コラムでは、シリンダー型スクリーン印刷機の動作や特徴についてご紹介します。
桜井グラフィックシステムズではシリンダー型のスクリーン印刷機を開発・製造しています。

1. スクリーン印刷とは

スクリーン印刷とはスクリーン版を使用した印刷工法のことです。スクリーン版の網目にインクを通過させ、被印刷物（印刷したいもの）にインクを直接印刷する孔版印刷の一種です。

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2. シリンダー型スクリーン印刷機とは

シリンダー型スクリーン印刷機は、フラットなスクリーン版と円筒状のバキュームシリンダーを用いて印刷を行う方式の印刷機です。印刷中に版が前後動しながら印刷物が排出されていく仕組みで印刷されます。

3. シリンダー型スクリーン印刷機の特徴

印刷中は、シリンダーが版の往復動に同期して回転し、シリンダーが咥えた印刷物を連続的に排出します。この仕組みにより、短時間で連続的に印刷できるのが大きな特徴です。このため、生産速度が速く印刷することが可能です。特に薄いフィルムや長尺のシートと相性が良く、フレキシブル基板やタッチセンサー、メンブレンスイッチなど、工業用途で広く利用されています。

4. フラットベッド型との比較

多く使用されているフラットベッド型では、平らな台に置かれた印刷物の上でスキージが動き、版と印刷物は固定されたまま印刷されます。一方シリンダー型では、印刷中に版が前後動しながら印刷物が排出されるため、効率よく印刷することができます。

5. シリンダー型スクリーン印刷機のメリット

版離れが良い

版離れとは印刷時にスクリーン版からインクをつけたワークが離れることを指します。
シリンダー機は、ワークは印刷されると同時に強制的に版から離されていくため、シャープな版離れが可能となります。版離れが悪いと、インキのにじみや膜厚のバラツキの原因になります。
一方フラットベッド（平台）機には版離れ機構と呼ばれる、スキージーが刷り終わり位置に近づくにつれて版の後部が持ち上がりクリアランス（スクリーン版とワークの隙間）を大きくし版離れを促進する機構が必須で搭載されています。この機構はインクやスクリーン版などによって数値を変更することが必要です。

刷り長を変更できる

シリンダー型スクリーン印刷機は版の前後運動（平行運動）とシリンダーの回転運動を組み合わせて印刷を行っています。
この２つの動きをわずかにずらして同期を調整することで、「刷り長（印刷される長さ）」を変更することができます。

当社のシリンダー機には「印刷ピッチ補正装置」という機能があります。
例として、印刷中に、素材の伸びや縮みなどで天地方向（上下方向）の寸法が変化してしまうことがあります。
この装置では、版の位置を基準にして印刷シリンダーの動く量を、ストローク（動作範囲）の中で任意に増減させることができます。
その結果、印刷の天地寸法を伸ばしたり縮めたりできるようになります。
この機能により、印刷がうまくいかなかった際に版を作り直す必要がなくなり、調整時間の短縮と生産効率の向上を実現します。また多色印刷の際にも各色の位置合わせや調整がしやすくなります。

版ひずみ（刷り歪）が発生しにくい

版ひずみとは過剰なクリアランス（シリンダー型の場合はスクリーン版とシリンダー頂点の間の隙間）や印圧で印刷した場合に起こりうる変形し元に戻らないスクリーン版のことをいいます。
シリンダー機は平台機に比べてクリアランスを小さく設定できるため、刷り歪が発生しにくくなります。また、版への負担が小さいため、版の寿命も長くなります。

6. まとめ

シリンダー型スクリーン印刷機は効率的な印刷を実現した全自動印刷機です。
全自動ならではの一貫した設定と精度、生産性を活かし、電子部品やフィルム製品、自動車部品など、さまざまな工業製品の製造現場で広く利用されています。

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